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政策・提言

■平成26年第4回定例会 (2014.11.27)


◯議長 日程第四を議題といたします。区の一般事務について、質問の通告がありますので、順次発言をお許しいたします。最初に、十六番二島豊司議員。
  〔十六番(二島豊司君)登壇、拍手〕

●十六番(二島豊司君) 平成二十六年第四回港区議会定例会にあたり、港区議会自民党議員団を代表して、武井区長、小池教育長にご質問させていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 去る十一月二十一日、安倍首相は衆議院を解散いたしました。消費税の引き上げを十八カ月延期すべきであるということ、そして、平成二十九年四月には確実に一〇%へ消費税を引き上げることについて、さらには、この二年間、安倍政権が進めてきた経済政策、成長戦略をより一層前へ進めていくべきかどうかについて、国民の皆さんの判断を仰ぐための解散・総選挙となります。消費税引き上げのタイミングも成長戦略も、港区政、そして区民生活にとって大変大きな影響を及ぼす事項であります。
 二年前、安倍政権が発足して以来、強力に推し進めてきましたアベノミクスの成果は着実にあらわれています。雇用は改善し、賃金は上がり始めています。デフレから脱却するチャンスを、また、ようやく動き始めた経済の好循環の流れを決してとめてはなりません。アベノミクスの効果が区民生活の隅々まで広く行き渡り、個人消費が拡大し、景気回復の効果が実感できるまで、私たち自民党は決して後戻りはいたしません。たとえ困難があろうとも引き続きこの道を進んでいく。正々堂々、国民の審判を受ける。その決意を表明し、質問に入らせていただきます。

 まず初めに、次期基本計画について質問いたします。
 平成二十七年度から平成三十二年度までの六年間を計画期間とする、新しい基本計画の素案が先日、示されました。現在、区民意見の募集が行われ、十一月十四日からは各地区の計十一カ所で区民説明会が実施されました。これから来年の初めにかけて、区議会においても各常任委員会で素案に対する質疑が行われることになります。
 現行基本計画では、武井区長がスタートさせたばかりの区役所・支所改革を踏まえ、初めて各地区版の基本計画が策定されました。向こう六年間の区政の方向性を示す基本計画・実施計画には、これからの六年間をかけて区長が推し進めようとしている方針が凝縮されているものと考えます。
 今回示された次期基本計画(素案)では、平成三十二年度の港区を見据えて計画期間内に、特に優先的・重点的に取り組むべき課題については、分野別の体系を横断する重点課題と位置づけ、財源を優先的に配分し、集中的に取り組むこととしており、五つの重点課題が設定されています。全庁横断的に課題への認識を共有し、いわゆる行政の縦割りの弊害を乗り越えることへの意気込みがあらわれているものであると思います。
 重点課題の一つにも掲げられておりますが、次期基本計画の最終年度である平成三十二年度は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催年にも重なる大きな節目の年となります。今回示された次期基本計画を通じ、武井区長が目指そうとしている港区の将来像について見解をお伺いいたします。

 次に、安倍政権の掲げる大きな柱の一つである女性の活躍に向けての施策に関連して質問します。
 初めに、第二子以降の保育料無料化についてです。女性がそれぞれのライフステージに合わせた活躍ができる環境を整備する上で、ワーク・ライフ・バランス推進への支援と自らが望むキャリア形成支援とはともに重要な課題と考えます。
 十一月二十日の定例記者会見において、武井区長は、来年度から子ども・子育て支援新制度が導入されることに合わせて、所得による差異を設けることなく、第二子以降の保育料を一律に無料化する方針を打ち出しました。それによると、第二子以降の保育料を無料化にするのとあわせて、所得階層の上限であった区分を細分化し、一部保育料の引き上げについても同時に実施するとのことです。
 保育園の三歳未満児保育料を例にとると、現行の保育料では最高階層に属する世帯が二五%を占めることから、その上位階層として新たに四つの階層を設け、一階層ごとに四千三百円を増額することで、保育料の上限額を現行の五万七千五百円から三〇%引き上げ七万四千七百円とします。これは応能負担の原則、また、国の徴収基準額の上限が十万四千円と設定されていることに鑑みても適正な対応であるものと考えます。
 今年四月の消費税率の引き上げによる影響分として、平成二十六年度当初予算では七億五千五百万円の増収が見込まれております。来年十月からの再引き上げは、恐らく一年半延期されることになりますが、消費税率五%から八%へ、そして将来的に一〇%に引き上げた際の引き上げ相当分は社会保障四経費に充当することが定められており、来年度からスタートする子ども・子育て支援新制度も消費税率一〇%を前提とした制度設計がなされております。来年度以降も消費税率の引き上げ分を財源とする歳入増が見込まれておりますので、めり張りのある子育て支援策を打ち出していただけますようお願いいたします。
 区長が記者会見で、「東京は出生率は低いが、出生数は全国の一割を占める。二人以上の子どもを望む人が出産しやすい環境を都市部でつくることは、少子化の歯どめに重要である」旨を述べられたことが、まさに今回の支援策の本質であると私どもも認識をいたしております。改めて、今回所得制限を設けることなく、一律に第二子以降の保育料の無料化を行う方針を打ち出した狙いについてお伺いいたします。

 次に、小規模事業者向けの育児休業取得支援の必要性について質問いたします。
 保育園の整備とあわせて、港区では在宅で子育てをする家庭への支援も大変手厚く整備が進められております。これまでも折に触れて育児休業の取得支援について取り上げてまいりましたが、男性の育児休業の取得率を上げること、また、母親が育児休業取得後に確実に復職できること、これも女性の活躍を推進することに直結してまいります。我が子の幼少期を自らの手で育てることを選択した母親が、子どもが成長したある時期に、再び自らの望む職場へと戻ることができる環境の整備が必要と考えます。
 大企業や官公庁にあっては、産休・育休取得と取得後の職場復帰についても体制が整えられている一方で、地域経済、そして地域そのものを支えてくれている中小企業や地場の零細企業、個人事業主といった小規模事業者は、そもそも限られた人手で事業が営まれており、そのもとで働かれている皆さんが出産を機に退職せざるを得ないといった例を多く伺っております。これは、ご本人はもちろんのこと、新たに採用することもなかなかままならない事業者の側にとっても、業務や技術面で育ててきたスタッフを手放さざるを得ないという、大変大きな損失となります。港区内で事業を営まれ、地域を支えていただいている中小・零細企業、個人事業主の皆さんのもとで働いている方々が安心して産休や育休を取得できるために、小規模事業者に対する支援策を講じる必要性は高いと考えますが、区長のご認識を伺います。

 次に、国家戦略特区について二点質問いたします。
 十月一日、武井区長も出席し、東京圏国家戦略特別区域会議が開催されました。そこで示された都市再生・まちづくり分野に関連して、初めに都市計画法等の特例について質問いたします。国際的ビジネス拠点の形成を図るため、これらプロジェクトを推進し、国際都市にふさわしい交通機能を強化するとともに、国際ビジネス交流、情報発信、起業支援、MICE等の拠点を整備し、あわせて外国人向けを含めた生活環境の整備、これらを行う事業として国家戦略特別区域計画に特定事業として位置づけられ、内閣総理大臣の認定を受けることで都市計画法等の特例が適用され、柔軟で大胆な容積率の設定や迅速な都市計画決定が受けられることになります。
 港区内でも現時点で、「品川駅周辺」、「竹芝」、「虎ノ門一・四丁目愛宕、麻布台」、「六本木五丁目」、これら四地区で都市整備のプロジェクトが企画され進行しつつあります。世界で一番ビジネスがやすい環境を創出するため、さまざまな機能の集積が図られ、これによって高容積の建築物が出現することとなるわけです。日本経済のエンジンたる港区ならではの機能集積であることは理解できますが、もちろん、これらも他の手法による整備同様に、その地で暮らす区民にとっての生活の質の向上に資するため、空地の確保、その他の地域貢献がなされることが前提となります。東京圏の国家戦略特別区域計画に位置づけられているプロジェクトについて、どのように事業者を指導・誘導し、区民目線に立った港区のまちづくりを進めていこうとされるのか、区長の姿勢をお伺いいたします。

 次に、旅館業法の特例について質問いたします。
 ことし一月から十月までに日本を訪れた外国人旅行者が昨年より二カ月早く千百万九千人と、これまでで最も早く千万人を超えました。これは過去最高であった昨年より二カ月早いペースであり、年間では千三百万人前後になると見込まれております。
 政府では、二〇二〇年までに日本を訪れる外国人旅行者を二千万人に増やすことを目標に環境の整備を図ってきましたが、それが成果としてあらわれております。都心部ではホテルの稼働率が上がる一方、十分な受け入れ態勢が確保できなくなるとの課題も懸念されております。国家戦略特別区域法第十三条において、一定期間以上の滞在であること、外国人旅客の滞在に適した施設であること等を要件に旅館業法の特例措置を講じることを定めております。
 国内各地を観光でめぐる通常の旅行者と比較すると、長期滞在型の旅行者はその地で生活することになるので、地域経済に寄与する可能性が高く、地域振興の観点からも、この特区を活用したプラットフォームを早急に整備することが望ましいと考えております。この制度を導入するには区の条例制定が必要となってまいりますが、今後の区の対応についてお伺いいたします。

 次の質問です。現在、特別区長会では、特別区と全国各地域との新しい連携を模索し、東京を含めた各地域の経済の活性化、まちの元気につながるような取り組みとして、「特別区全国連携プロジェクト」を展開し、ことし九月、その一環として、全国約千七百の自治体向けにアンケートが発せられたとのことです。
 一方、港区では、既に全国各地の自治体との多様な連携関係を有しており、例えばみなと森と水のネットワーク会議の協定自治体数は伸び続け、現在七十六自治体に上ります。毎年、新橋SL広場で開催される商店街と地方都市との交流物産展に、ことし参加された自治体は二十三自治体であります。そのほかにも港区にはさまざまな交流があります。そのつながりを積極的に活用して、単にイベント時のブース出展にとどまらない、複合的な協働関係の構築を目指すべきではないでしょうか。地方の活性化に資する連携関係を再構築することは、港区にとっても大いにプラスになると考えます。国の掲げる「地方創生」という大きなテーマに対し、都心区である港区から全国の自治体にメッセージを発することで、お互いによい影響を与え合える関係を構築することは、大変意義のあることと考えます。地方都市との連携・協働に対する区長の見解をお伺いいたします。

 次に、区有資産のファシリティマネジメントについて質問いたします。
 東日本大震災の発生などで当初予定から随分と完成がおくれることにはなりましたが、区民の皆さんが待ち望まれたみなとパーク芝浦がいよいよ来月二十二日にオープンします。また、今週末に内覧会が催される白金の丘学園は、区内で初めて新設される施設一体型の小中一貫教育校として、地域の皆さんの大きな期待を受け、来年四月、開校を迎えます。今年度も、今挙げた大型の二棟を含め、区内の公共施設の新設・更新が進み、学校を含め、新築・改築を合わせて、新たに建てられた建物は七棟に上ります。
 それぞれにおいてランニングコストの低減にも工夫が凝らされているものと承知しておりますが、経年劣化は必ず発生します。同時期に建設された建物が必ずしも同じタイミングで大規模修繕や更新期を迎えるということではありませんが、建物の長寿命化によって数十年先まで利用される建物を将来的にどのように活用することが可能であるのか。財政的な備えの必要性や人口動態の変化によって、将来的な需要の変動にも柔軟に対応できるよう、公共施設のスペックや中・長期的な改修計画の見込みなどについても、区民に対してわかりやすく示しておくことが必要と考えますが、区長のご認識を伺います。

 次に、障害者入所施設の整備について質問いたします。
 ノーマライゼーションの理念のもと、障害の有無、程度にかかわらず、誰もがともに地域で豊かに生活することを可能とするためには、グループホーム整備の促進、在宅支援体制の構築は大変重要であります。地域移行の推進は国の掲げる基本方針であると同時に、都・区の行政はもとより、ともに生きる私たち一人ひとりがその意識を持たなくてはならない本質的な考えであります。
 一方で、在宅生活での困難さを感じている障害者の皆さんや、そのご家族が新たな入所施設の整備を待ち望まれていることもまた事実であります。先日、新橋はつらつ太陽の「はつらつ祭」にお邪魔をさせていただきました。開所から八年余りが経過したはつらつ太陽では、入所者、施設職員と地域の方々とのコミュニケーションもとれており、施設全体が地域の一員としてしっかりと根づいていることを改めて感じることができました。現状、区内唯一の入所施設であるはつらつ太陽は満員状態が続いております。
 現在、示されている次期港区地域保健福祉計画(素案)に、入所施設建設がボックス事業として計上されていることは、施設入所を願っている皆さんにとって大きな期待となっていることと思います。かつてのように障害者を施設に押し込めておくといった発想に立ち戻ることは決してあってはなりません。はつらつ太陽と地域とのつながり、入所施設が在宅支援の拠点ともなること等々を総合的に勘案すれば、入所施設を新規整備することは、地域移行の推進の中に位置づけることも可能であると考えます。以上の点からも、新しい障害者入所施設の整備に向けて前向きな検討がなされることを求めるものですが、区長の考えをお伺いします。

 次の質問です。ことし十月からみなと保健所の二階にある休日歯科応急診療所を改編し、試行実施が開始された港区口腔保健センター事業に関しては、開始以来、予約受付の状況も順調であり、問い合わせも数多く受けていると聞いております。利用の対象となる障害者の保護者の方と実際に話をしても、本事業への関心は非常に高く、期待の大きさを感じました。
 これからさらに多くの方が、この保健所内に設置される口腔保健センターを利用されることになると思いますが、今後このセンターを運営、改善していくに際しては、区内の障害者の皆さんの団体や家族会、また区内の障害者施設等で介助に従事されている方々など、利用者の意見が反映される仕組みが必要と考えますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。
 口腔ケアは健康に直結します。これまで歯科健診や診療へのアクセスが困難であった皆さんが、身近な場所で安全・安心・適切に健診や診療が受けられる体制の整備が進むことを心から期待いたしております。

 次に、がけ・擁壁改修支援について質問いたします。
 十月六日、気象庁と東京都から港区宛てに土砂災害警戒情報が発令され、それを受けて、港区は約二万三千世帯、四万五千人を対象に避難勧告を発令しました。都心区である港区での避難勧告発令は、メディアにも大きく取り上げられ、都心部である港区にも警戒を要する急傾斜地が存在することが広く知られるところとなりました。区内には大規模ではない家屋が建ち並ぶ市街地特有のがけや擁壁が数多く存在します。
 港区では平成二十一年度から、がけ等の整備に際しての借り入れに対する利子を補給する港区がけ等整備支援事業を行っておりますが、現在のところまだ実績はありません。今後、東京都において土砂災害防止法に基づく土砂災害区域の指定に向けた調査が始まるとも聞いております。近年の傾向から、これからも大雨が降る頻度は増すことが予想されます。区民生活の安全を守るためにも、安定度の低いがけや擁壁の改修は喫緊の課題であり、支援制度の大幅な拡充が求められると考えます。今後の取り組みの方向性についてお伺いいたします。

 最後に、新教育センターの整備について質問いたします。
 虎ノ門三・四丁目地区計画の都市計画手続が進み始め、ようやく新教育センター整備のめどがついてまいりました。区は平成二十年、旧鞆絵小学校跡地を活用し、国との土地交換などを経て、気象庁との複合施設として、新たな教育センターを整備する基本計画を策定いたしました。その基本計画に基づき基本設計策定が進められているとのことですが、都市計画手続がとまっていたことから、基本設計策定の手続も中断されておりました。
 平成二十年三月の基本計画策定から六年以上が経過し、その間にはリーマンショックや東日本大震災など、社会・経済を大きく揺るがし、区の方針に大きな影響を与えた事象も発生しています。計画内容を再度確認・検証し、これからの港区の教育環境の充実に資する、よりよい教育センターを整備するため、状況の許される範囲において基本設計や、その後の実施設計にその内容を盛り込んでいくことが必要と考えますが、教育長の見解をお伺いいたします。
 以上で質問を終えさせていただきます。ご清聴、どうもありがとうございました。

  〔区長(武井雅昭君)登壇〕 ◯区長(武井雅昭君)
  ただいまの自民党議員団を代表しての二島豊司議員のご質問に順次お答えいたします。
 最初に、次期基本計画・実施計画(素案)についてのお尋ねです。
 新たな基本計画の計画期間は、港区の人口は引き続き増加することが見込まれるとともに、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けた準備期間とも重なります。加えて経済活動や開発事業の活発化や、陸海空の交通ネットワークのさらなる充実など、世界からさらに注目されることが予想されます。
 区は、この期間を好機と捉え、区が有するさまざまな地域資源や民間活力などを効果的に活用し、安全で安心できるまちづくりをはじめ、全ての分野においてこれまでの取り組みを加速化するとともに、積極的に港区の魅力と実力を世界に発信し、夢と希望に満ちた「区民一人ひとりが誇りに思える成熟した国際都市」を実現してまいります。

 次に、第二子以降の保育料無料化についてのお尋ねです。
 区では、年少人口が年々増加しており、まちに子どもたちの声があふれ、地域の活性化にもつながっております。区の合計特殊出生率も、子育て支援策の取り組みの効果などにより、平成二十五年には一・二七となりましたが、二を大きく下回っている状況です。保育料の第二子以降の無料化は、二人目以降を望む方々が安心して子どもを生み育てやすい環境を整備し、「子育てするなら港区」をより具体化していくものです。全国の子育て環境を整備することは重要ですが、現在、多くの子どもが生まれ育っているこの港区で、さらに集中的に子育て支援策を充実させることが全国的な少子化対策にも寄与するものと考えております。

 次に、小規模事業者向けの育児休業取得支援についてのお尋ねです。
 区では、区内の中小企業が育児休業制度や配偶者出産休暇制度を導入した際に助成金を支出する、仕事と子育て両立支援事業を実施することによって、性別にかかわらず誰もが仕事と子育てを両立できる中小企業の職場環境づくりを促進しています。特に、男性の育児休業については、なかなか取得が進まない現状を踏まえて、男性従業員が育児休業を取得しやすい環境を整えるなど、より一層、区内中小企業の働く環境の整備を支援してまいります。

 次に、国家戦略特区についてのお尋ねです。
 まず、都市計画法などの特例についてです。区は、これまでも開発にあたり、事業者に対しまして地域の皆さんとの情報共有や意見交換を行い、地域の課題解決に貢献する開発となるよう指導・誘導し、区民が安全で安心、快適に住み続けられるまちづくりを推進してまいりました。
 今後、区内の国家戦略特区のプロジェクトにおいては、JRや地下鉄新駅整備等の都市基盤を強化し、開発地域周辺の防災力を促進してまいります。また、子育て関連施設や生活利便施設の充実により、区民生活のさらなる向上を図ります。さらに、大規模な緑の創出や風の道の確保、景観に配慮したまちづくりの実現を目指してまいります。

 次に、旅館業法の特例についてのお尋ねです。
 この特例は、十月一日の東京圏区域会議で示された区域計画(素案)の中に盛り込まれており、ビジネスのしやすい環境の整備を目的とするものです。今後、内閣総理大臣が区域計画を認定した後は、区は国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業を認定するための規定等の整備に入ります。施設経営事業の認定要件の一つに、施設を使用させる期間があり、これについては七日から十日の範囲内において区の条例で定める必要があります。今後、東京圏区域会議の議論を踏まえるほか、旅館業法の許可施設との違いなど、期間の与える影響を考慮しながら、他区とも連携し、条例整備に向け検討を進めてまいります。

 次に、地方都市との連携・協働についてのお尋ねです。
 特別区長会は、東京を含む全国の各地域がともに発展・成長しながら共存共栄を図ることを目的とした特別区全国連携プロジェクトを始めました。区は、全国七十六自治体が参加するみなと森と水ネットワーク会議、いわき市及び郡上市との災害時相互協力協定、また、佐呂間町や山形県舟形町との商店会を通じた交流など、環境施設や防災、産業振興施策などのさまざまな分野において、相互に力を合わせて、自治体固有の課題を解決するため、先駆的に全国の自治体との連携、協力関係を深めてまいりました。東日本大震災が発生した際には、被災地への支援をする一方で、協定を締結している自治体から飲料水の支援を受けるなどの成果も生まれており、日ごろからの連携の重要性を感じております。
 本年十月には、温泉を有する港区として、百五の自治体が参加する温泉所在都市協議会に加入いたしました。観光振興の観点から幅広いPRと区民への情報提供ができるものと考えております。今後とも、区は、特別区長会の取り組みとあわせて、全国の自治体との連携・協力した取り組みを積極的に進めてまいります。

 次に、ファシリティマネジメントについてのお尋ねです。
 ファシリティマネジメントは、土地・建物・設備などを、経営にとって最適な状態で保有、維持するため、長寿命化や改築等を計画的に行う総合的な管理・運用手法です。本年十月に策定した港区行政経営方針では、区有地・区有施設の活用、維持管理にファシリティマネジメントの視点を導入することといたしました。また、現在策定中の港区基本計画・実施計画(素案)においても、施設配置や施設整備費の抑制など、公共施設整備の基本的な考え方を定めました。
 区は、これらの方針に基づき、将来の区民ニーズの変化に柔軟に対応できるよう、用途変更も可能な施設整備を進めるとともに、ライフサイクルコストの削減や施設の更新・統廃合・長寿命化を計画的、総合的に行うことにより、財政負担の軽減・平準化を実現してまいります。今後、具体的な取り組みの検討にあたっては、実効性を確保するとともに、できる限り数値目標を設定するなど、区民にわかりやすいものとなるよう努めてまいります。

 次に、障害者の入所施設の整備についてのお尋ねです。
 区はこれまで、施設に入所している障害者が住み慣れた地域で暮らすことができるよう、グループホームの整備を進め、安心して転居できる仕組みづくりなどに取り組んでまいりましたが、一方、区内では家族の介護力の低下や障害の重度化の進行などにより、入所施設でのサービスが必要な方への支援策も課題となっています。こうしたことから、区は、新たな基本計画・実施計画(素案)に入所施設の整備を計上することといたしました。今後、障害者や保護者の方が安心して暮らし続けることができる地域社会の実現を目指し、入所施設の整備に向けて全力で取り組んでまいります。

 次に、港区口腔保健センター事業に利用者の声を反映させる取り組みについてのお尋ねです。
 区は本年十月から、みなと保健所内に港区口腔保健センターを開設し、障害者歯科診療の試行実施を開始いたしました。十一月二十五日現在で年内の定員十八名のところ、十七名の申し込みがあり、既に九名の診療を終えたところです。現在、受診者における障害の種類、口腔の状況、治療内容の集計に加え、意見や要望等について聞き取りを行っております。また、区内九カ所の障害者施設利用者の歯科診療実態や要望について調査しております。今後、調査結果を詳細に分析し、港区口腔保健センターの運営改善に反映してまいります。

 最後に、がけ・擁壁改修支援についてのお尋ねです。
 区内には、急傾斜ながけ地、老朽化や地震などにより亀裂が生じた不安定な擁壁が存在しております。これらの中には台風や集中豪雨などで崩壊したものもあり、災害に強い街づくりを推進する上で課題となっております。がけ・擁壁の改修工事は高額であり、所有者への大きな費用負担となることが改修の進まない要因となっております。区は、区民の安全・安心の観点からも、がけ・擁壁の改修を促進し、所有者の負担が軽減できるよう新たな支援制度について検討してまいります。

 よろしくご理解のほどお願いいたします。
 教育にかかわる問題については、教育長から答弁いたします。
  〔教育長(小池眞喜夫君)登壇〕

◯教育長(小池眞喜夫君)
  ただいまの自民党議員団を代表しての二島豊司議員のご質問にお答えいたします。

 新教育センターについてのお尋ねです。
 平成二十年三月の虎ノ門用地整備基本計画策定後、新教育センターは、地区計画のおくれにより基本設計の策定が中断しておりましたが、このたび、港区を含む関連地権者三者が地区計画の提案を行いました。地区計画の手続が進捗したことに伴い、教育委員会では本年十一月に港区新教育センター開設準備検討会を設置し、新教育センターの整備に向け、基本計画や基本設計の再確認、実施設計の策定準備に着手しました。
 この間、SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)を使ったいじめや発達障害に対する特別支援など学校教育を取り巻く課題は複雑多様化しております。こうした子どもや保護者が抱えるさまざまな課題を解消するため、教育相談と特別支援相談の一体的な取り組みを検討してまいります。

 また、ここ数年、課題となっている理科離れの状況に対応して、子どもたちの理科に対する興味、関心を高めるため、区内の企業や大学と連携した参加・体験型の展示や学習プログラムの開発など、港区ならではの取り組みを進めてまいります。さらに、教職員が教材研究や研修などを効果的に進められるカリキュラムセンター的機能も強化してまいります。これらの検討に際しては、区の財政状況に配慮するとともに、災害対策など施設の安全性の確保に十分留意してまいります。

 よろしくご理解のほどお願いいたします。

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