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政策・提言

■平成21年第三回定例会(2009.9.16)

[待機児童解消の具体策について]
[公園・児童遊園の緑化について]
[地域防災について]
[生活保護費の代理納付について]
[ペットの犬について]
[ワーク・ライフ・バランスの推進について]

■待機児童解消の具体策について

●二島豊司……引き続いてになりましょうか、待機児童解消の具体策についてを私からも質問させていただきたいと思います。
港区のホームページを見ますと、保育園は家庭でお子さんを保育できない場合に、保護者にかわって保育をする福祉施設とされております。現在、認証保育所や緊急暫定保育施設を含め保育園に入所している子どもの数と、いわゆる待機児童、保育園への入所を持っている子どもの数、また、該当の年齢層の子どもの人口、これをお聞かせいただきたいと思います。

◯子ども課長……現在、認可保育園の定員は2,029名、認証保育所の定員は604名、緊急暫定保育施設の定員は226名、合計2,859名でございます。区内の就学前人口、ゼロ歳から5歳の人口は1万324名で、保育園関連の率は27.7%にあたります。区内の認可保育園に入所を希望する待機児童は9月1日現在298名いらっしゃいます。就学前人口ゼロ歳から5歳の人口に対しまして、2.9%ということになります。

●二島豊司……ありがとうございます。実にゼロ歳から5歳の子どもの27.7%が保育に欠ける子どもという悲しい事態であるということであります。保育園の定員拡大以外に、現在、区が取り組む待機児童解消策は、重複になるかもしれませんが、どのようなものがあるかお聞かせください。

◯子ども課長……ハード以外の対応で、きめ細かい子育て支援施策として、待機児童家庭支援一時保育事業をはじめとして、Pokkeやあっぴぃ、みなとほっとルームなどの子育てひろばや一時預かり、乳幼児ショートステイ事業やひとり親家庭ホームヘルプサービス、NPO法人あい・ぽーとステーションと協働して実施しています派遣型一時保育事業、社会福祉協議会での育児サポート子むすび、保育園、幼稚園などでのあそぼう事業、児童館での乳幼児コーナー、子ども家庭支援センターでの親子ふれあいひろば、子育てグループのための地域活動などさまざまな施策を展開しております。今後もこういった子育て施策を総合的に推進していきたいと考えております。

●二島豊司……いろいろ対策はとられているわけでありますが、やはり待機児童の解消となると、保育園の定員拡大の部分へのクローズアップが非常に大きいというか、議論の中でほぼそれしか出てこないという状況なのかなと思っています。保育園への入所を心待ちにしていながら、入所のかなわない待機家庭の中には、週のうち何日か、また時間帯が異なる保育を希望する待機家庭もあるのではないかと思われます。フルタイムの保育園以外の保育ニーズに関して聞き取り調査をしてはいかがでしょうか。既に先ほどありましたように、多くは区の施策メニューとして用意されていると思いますけれども、その聞き取りの中から新たな事業展開のヒント、こういったものも見出せる可能性があると考えますが、いかがでしょうか。

◯子ども課長……私どもも基本計画、地域保健福祉計画の策定をとらえまして、さまざまなアンケート調査を実施してまいりました。それから今、策定に向けて取り組んでおります次世代育成支援行動計画、こちらのアンケート調査からも区民からの意見を施策に取り組んでおります。それから総合支所の窓口などでも意見を聞いております。そして、具体的に保育園などの待機家庭の保護者の方の意見も聞かせていただいております。委員のご指摘の趣旨も踏まえまして、今後もこういった意見を把握して施策に取り組んでまいりたいと考えています。

●二島豊司……私が考えますに、例えば、出生届が出されたとき、また乳幼児が転入してきた際に、その家庭が考えている子育ての計画、保育園の入所希望の有無などのヒアリングを行い、港区の制度や施設についての説明、また、認可保育園待機者数などの現状も含めて情報提供を行いながら、子育てのプランをともに考えながらアドバイスができる体制、ホームページや口コミで大体情報収集すると思うのですが、どれだけ入るのが大変かとか、そういう情報というのはなかなかうわさベースになって、具体的な区の実情を含めてアドバイスできる体制、これを整備したらどうかと考えるわけであります。地域保健福祉計画に記載のある各戸訪問事業や保健所の母子の心身をケアするための事業との連携を図ることで、親に対して正確な情報が提供できると同時に、区としても、アンケートなどでは見えない区民の意向をリアルタイムで把握できると思いますが、いかがでしょうか。

◯子ども課長……総合支所制度になりまして、以前より多くの届け出が総合支所に提出されるようになり、支援部と一体となって、事業を行っております。子ども支援部におきましても総合支所と連携して、窓口の出生届や転入届の時の状況等を総合支所から報告を受けるとともに、総合支所で区民に的確な情報提供ができるよう情報連絡を密にして、みなと保健所など他部門との連携もとって区民の意向をとらえるよう、なお一層連携を図っていきたいと考えております。

●二島豊司……今は、どちらかというと、役所の側から区民の側にこういうメニューがありますよということを示すということはやられておられると思いますけれども、それを受けて、区民がこれをこう使いたいけれども、それはどうなのだと。自分は働いていないけれども、保育園に預けたいと。それはだめよというようなことも含めて双方向でやりとりができるようなアドバイザーみたいな方がいたりすると、ここまで待機児童が増えなくて済むのではないかなと思うところもあるわけであります。
待機児童を解消するためには、保育園の定員を拡大し、そこに収容していくか、保育に欠ける家庭の数を減らして、保育園入所の有資格家庭を減らすか、そういうことが考えられるということであります。自らの手で保育をしたいけれども、泣く泣く保育園に預けざるを得ないという家庭を減らすための施策というのは必要ではないかなと思います。これに関しましてはワーク・ライフ・バランスとか、そういったことだと思うので、これは産業経済費の方でワーク・ライフ・バランスについて、引き続き質問させていただきたいと思います。
 先ほど2.9%とありました待機児童の割合、2.9%が多いのか少ないのか、そういうことではなくて、298件のそれぞれ個別に事情を持ったご家庭があるということだと思いますので、1件減れば297件になって、2.9%の率は変わらないと思いますけれども、その1件の家庭にとっては解決すればいいということなわけです。だから、統計上の数値みたいなものに目を奪われ過ぎずに個別に対応して、1件、また1件と解消していける方法があるはずだということを信じてやっていただきたいと思います。
続いて、在宅子育てをしている家庭に対して、大きな助けとなっていますPokke、あっぴぃ、あい・ぽーとなど、先ほど来、どこの子育てひろばも人気が高いと伺っております。子育てひろばへの需要が高い要因としては、気軽に利用できる点があると思います。今日の子どもの様子を見て、行こうかな、やめようかなということも決めたりできるし、体調なども含めて、気分転換とか、レスパイト、そういうものにも役立つという、そういう利用者側の観点に立つと、現在、7カ所でやっていると思いますけれども、簡易なものであっても、家の近くで手軽に行けるということがいいのではないかなと思います。地域保健福祉計画では24年度以降、主に子ども中高生プラザの新設に伴った事業の拡大が示されておりますが、中高生プラザに併設されるものにこだわらず、民間の物件などもスペース的に可能なものがあれば調査して、可能な限りの前倒しや、さらなる拡充をぜひ検討していただきたいと要望させていただきます。

■公園・児童遊園の緑化について

●二島豊司……公園・児童遊園の緑化についてお伺いします。
既設の公園や児童遊園の裸地についても草地化を進めることで緑被地を面的に確保することができるのではないでしょうか。第2回定例会の一般質問で私が既設の公園や児童遊園の芝生にこだわらない草地化、緑化について伺った質問であります。
今、白高児童遊園などで実験的にシロツメクサ、クローバーの種をまぜた土を児童遊園に敷き緑化を図っているとのことですが、この手法を取り入れた理由とその後の様子をお尋ねいたします。

◯高輪地区総合支所まちづくり担当課長……区立白高児童遊園は、児童遊園の配置状況から、自転車や児童遊園利用者以外の通行人も多く、芝生を維持することが難しい状況にあることと、植物が育つには向いていない土壌でありました。
 そのような維持管理上の課題を解決する目的で、この7月に試験的に植物が育ちやすい土に入れ替え、踏みつけに強いと言われるシロツメクサの施工を行いました。現在、様子を見守っているところでございます。

●二島豊司……整備当初、土を入れ替えた後はただの土であったわけでありますが、それが木陰や敷地の周辺部などから少しずつ芽が出始めて、今では随分と緑に覆われているように見えるわけであります。
確かに今おっしゃられたように、人通りのある部分がありますので、そこは土がむき出しの状態であると思います。そういうことがあるので芝生は適さないということで、恐らく芝生を敷こうとしても、いずれにしても人が通ってしまうところは、どんなやり方にせよ、なかなか草が根づかないだろうと考えられますので、今ある状態がこの取り組みとしてある程度完成した状態に近いものかとも思うのですけれども、それがいかがなものかということ。そして、この整備手法を用いるに当たって、養生期間などで公園を閉鎖したことがあったのかどうか。また、種をまく前と比較して日常の公園・児童遊園整備にかかる手間に変化があった点はあるのか、3点をお伺いいたします。

◯高輪地区総合支所まちづくり担当課長……現在シロツメクサの施工に関しましては、あくまでも試験施工でございます。今回、養生期間を設けておりませんが、問題点を洗い出していきたいと考えております。また、種をまく前後で特に日常管理で手間に変化は生じてはございません。

●二島豊司……確かに児童遊園がきれいに一面緑の芝生で覆われているイメージとは異なると思うのですが、従前の土がむき出しの状態と比較すれば、決して広い児童遊園ではありませんが、かなり原っぱのイメージが出ているのではないかという感じがいたします。この整備手法はもっと拡大できるのではないかと思うところでありますが、いかがでしょうか。また、現在コンクリートで覆われている公園や、特に小さな児童遊園で有効ではないのかと思うのですが、この手法での草地化拡大の検討はできないものでしょうか。お伺いします。

◯高輪地区総合支所まちづくり担当課長……白高児童遊園では今後とも観察・研究をしてまいりますが、その成果や手法を他の公園等にも取り入れていくことを考えております。また、このような既存の施設を変更する際には、地域の方々、利用者の方々のご意見・ご要望を伺いながら検討してまいります。

●二島豊司……ありがとうございます。ぜひ広げていただきたいところです。公園の隅だと思いますけれども、小さな子がクローバーを摘んだり、花でよくつくりますね。そういうものはほのぼのとしていて非常にいいのではないかと思うわけです。環境・街づくり支援部の方、総合支所の方もプロだとは思うのですけれども、プロの目から見ると公園の利用者の方がどうだとか、閉鎖しなければいけないとか、人が通るところで足元がぬかるむとか、いろいろ課題も見えてきてしまうと思うのですが、現にこういう形ではうまくいっている部分があるということなので、うまくいった部分をもうちょっとクローズアップして、そこからマイナスを外していくという、できれば前向きな考えでこの実験的な取り組みを検証していっていただければと思います。


■地域防災について 

●二島豊司……まず初めに、地域防災について、先ほども質問が少し出ていましたが、私も伺わせていただきます。
まず、平成21年3月31日現在で219あります防災住民組織、これについて、町会や自治会といった、そういう本体と混同されることが多いのですが、違いについてご説明をお願いします。

◯防災課長……防災住民組織でございますが、震災から地域社会を守るために、町会・自治会等を母体として住民が自主的に結成した組織のことを言っております。委員のご指摘のとおり、平成21年3月末時点で219団体が設立されております。防災住民組織は、主に町会・自治会を母体としておりますが、実際名前はそのまま引き継いでいない団体がございます。防災会、あるいは防災部という名称を使用しているところが多くございます。
なお、一部の町会・自治会では、防災会等を設置していないケースもあるので、混同を招いているのかと思われます。

●二島豊司……町会ではほぼ一体なのでしょうけれども、一部であったりすることもあると思うのです。防災住民組織という組織が地域防災にあたる中心であるということだと思います。この防災住民組織に対する助成や支援というのは、港区の要綱上、防災資器材の供与、防災資器材収納庫、小型消防ポンプの貸与とされていますが、そのほかに、助成や支援というものはあるのでしょうか。

◯防災課長……そのほかの支援でございますが、組織の運営費の助成を行っております。

●二島豊司……白金にあります町会の防災部、こちらは防災住民組織にあたると思いますが、独自の防災訓練を催したり、三田にあります町会では、防災部の方々が防災に関する講演を開催したり、また、今後は区の備蓄物資とは異なる非常食を展示したりするなどの独自の防災イベントを企画されて、近隣の商店やホームセンター、コンビニなどとの連携を模索すると、そういう活動のように、住民の皆さんが自ら率先してアクションを起こし、その地域の防災意識の向上のために活動をなさっておられます。そのことが地域に住む多くの方の関心を引き、区の広報などだけでは情報がなかなか届きにくい方々に対しても、興味を引くことによって情報が届けられ、防災意識の向上に寄与するといった効果もあるものと思います。そのような意欲のある組織については、そういった活動をバックアップするための支援があってもよいのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

◯防災課長……現在、各総合支所が中心になりまして、防災住民組織の活動支援をしております。いろいろな工夫をし、非常に熱心に活動をやられていることについても私ども十分承知をおります。それからマンション住民との連携強化でありますとか、高齢化など地域の課題、それぞれ抱えておられることも認識しております。
今後の防災住民組織に対する支援でございますが、ただ防災資器材を貸すだけではなくて、防災というと、どうしてもかた苦しくなりますが、例えば、総合支所と協働してお祭りをするなど、参加しやすくするとか、マンションの防災自主組織の結成と町会への加入促進などの支援について総合支所と一緒に実情を考慮しながら進めてまいりたいと思っております。

●二島豊司……総合支所が窓口となっていくと思われますので、連携しながら、そういった事業活動のフォローアップも含めて、ぜひ支援をしていただきたいと思います。
また、数ある防災住民組織の中にはそのような活動を進めている組織がある一方で、さまざまな制約があって、そこまで手が回らないような組織もあるのではないかと思われます。災害は広域的に発生するわけでありますから、面的に防災に対する意識の向上を図り、一定のなるべく高い水準での意識の統一が図られること、これも求められるわけであります。活発に活動する組織を参考とするなどして、でき得れば、すべての組織に対する行政からの働きかけも必要と考えますが、その点についてはいかがでしょうか。

◯防災課長……地域の活動というのは、高齢化が進んでおられたり、財政の面、それから人の問題、いろいろな課題によって、町会・自治会の活動そのものがなかなかうまくいかないというケースも聞いております。先ほどの答弁同様、総合支所と連携いたしまして、防災対策や災害対策のみならず、コミュニティづくり、あるいは防犯対策、安全・安心の取り組み、落書き消し、それからお祭り、さらには、いろいろうまくいっている組織の例を参考に一緒に考えていただくような働きかけも積極的に行っていきたいと思っております。

●二島豊司……防災というのは、いざ事が起こったときはもちろんですけれども、日ごろの心がけというか、心づもりが最も大事なのかなと思います。顔見知りになるというところからスタートすることが非常に重要だと思われますので、ぜひ総合支所と支援部とで連携して進めていただきたいと思います。
 続きまして、旧町名由来板の設置、これについてお伺いさせていただきます。
区政60周年記念事業として平成19年度からは3年間の予定で麻布地区からスタートし、各地区で進められてきたこの事業は、今年度で3年目の区切りを迎えることとなりますが、先行の麻布地区を含めて、これまでの実績をお伺いいたします。

◯地域振興課長……旧町名由来板は、その地域の歴史を文化の視点で都市の記憶として保存し、次世代に引き継いでいくということを目的に、区民の意見を取り入れながら、区内全域への設置を進めております。これまでの実績といたしましては、平成18年度に、先ほどありました麻布地区において区政60周年記念事業として7基設置いたしました。それから平成19年度からは、私どもから各総合支所にお願いする形で、平成19年度、平成20年度までに芝地区に8基、赤坂地区に5基、高輪地区に4基、順次設置してまいりました。本年度におきましては、芝地区で8基、赤坂地区、高輪地区でそれぞれ3基、追加設置する予定となってございます。

●二島豊司……ありがとうございます。今伺って、すぐに計算できないのですが、もう随分いろいろなところで見かけるようになってきたなという感じを私もしております。この旧町名由来板が設置されることによって、その地域に長年住み続けてこられた方にも、また新たに移り住まれてきた方に対しても、さらには、その町を訪れた方に対しても地域の歴史や文化を知ってもらい、同時にその地域への愛着をより深めていただく、そのための大きなツールとなり得るものと思います。まだ網羅されていない箇所があれば、来年度以降も引き続き追加していただき、また内容についても、先ほどの目的に資するような新たな事柄が判明したりするようなことがあったときには、更新していただきたいと思うところであります。3年目の区切りがついた来年度以降、この事業への取り組みについてお聞かせください。

◯地域振興課長……本事業は、平成21年度、本年度で一応一つの区切りをつけるつもりでございます。ただし、地域の文化資源を活用した歴史、文化の継承、それから保存、それにより地域の理解を深めていくことは、とても大切なことだと考えております。今後でございますけれども、例えば、芝浦港南地区の田町駅東口北地区などの開発計画、あるいは各地区のまちづくり整備の状況などと照らし合わせながら、設置の検討を進めるなど、今後とも、各総合支所や関係所管と連携を図りながら、地域の文化資源である旧町名の効果的な活用を検討してまいります。

●二島豊司……非常に大切なことだと思いますので、ぜひ3年で終わることなく来年度以降も進めていただきたいと思います。
これは感想なのですが、幾つかの町名由来板を見させていただくと、その記載の中に、「この名称についてはこれこれだが、定かではない」とか、「6個あるうちの3つが定かではない」と書かれていたり、「ここは非常に寂しい土地だった」とか、そういう表現があるところがあるわけであります。記載する内容をいろいろ調べてお書きになると思いますので、学術的な正確性を欠くことがあってはなりませんが、選ぶことはできると思います。町名由来板を設置するという趣旨に沿った記述をしていただきたいと思います。高輪地区総合支所の事業概要に出てくる事業内容には、すごくいいことが書いてあるのです。「港区内に数多く存在する歴史や文学、歌舞伎に残る旧町名を、文化の視点で都市の記憶として保存するとともに、区民の方々に地域に対する愛着を深めてもらうことを目的に、旧町名由来板を作成し設置します」と。「文化の視点で都市の記憶として保存する」と、役所が書いた文章とは思えないような事業の目的ですけれども、そういう趣旨に沿った、かなう記述をしていただきたいと。非常にいいものであるので、町名由来板を設置するということが自己目的化して、金属の板をまず建てるのだということではなく、その中に書いてある記述を地域の人に知っていただきたいということにいま一度立ち返っていただきたい。国際化の推進とか、早期英語教育ということが無批判に称賛されるような風潮がある中で、文化に目を向けよう、歴史に目を向けよう、自らが住む地域にスポットをあてる。この事業は非常にすばらしい事業だと思いますので、ぜひ、先ほどの私が申し上げたことを頭の隅に置きつつ、今後のメンテナンスも行っていただければと思います。  以上です。



■生活保護費の代理納付について 

●二島豊司……次に、生活保護費の代理納付についてお伺いさせていただきます。
アパートの大家さんから少し相談を受けたことがありまして、生活保護の受給者の方が入居されているアパートの大家さんですが、住宅扶助費が出ているにもかかわらず、家賃を滞納されることがあると。滞納が続くと、こちらとしても退去を求めざるを得ないと。そういうことはしたくないのだけれども、どうも滞納されてしまう。困っているのですというご相談でした。生活保護費については、受給者への直接支払いが原則であると思うわけでありますが、例外的な支給方法である住宅扶助費の代理納付制度について、どのような要件のもとで行われるのかお伺いいたします。

◯生活福祉調整担当課長・芝地区総合支所生活福祉担当課長兼務……住宅扶助費の代理納付につきましては、平成18年4月の生活保護法の一部改正により可能になったところでございます。この際、法に基づく代理納付につきましては、特に適用の要件は定まっておりません。民間アパートを含めて、被保護者の同意や委任等を必要とせず、福祉事務所の判断により、適宜、代理納付の対象者を決めることが可能となってございます。

●二島豊司……そうしましたら、港区での今の制度の実施の状況について、他の自治体との比較も含めてお聞かせいただきたいと思います。また、制度に課題などがありましたら、あわせてお伺いしたいと思います。

◯生活福祉調整担当課長・芝地区総合支所生活福祉担当課長兼務……港区の被保護世帯の現状におきましては、法に基づくもの及び委任に基づくものを含めて代理納付は実施されていない状況にございます。他区の状況につきましては、都営住宅の家賃においてですが、8区ほどが、程度の差はありますが、代理納付に取り組んでいると聞いてございます。平成18年の法改正は家賃滞納を防ぎ、保護費の適正使用という点では、かなり強力なツールになることは間違いないと思っているところでございます。しかしながら、一律にこれを推し進めることには、生活保護を受けている方であっても、その自己決定を尊重し、自らきちんと家賃を支払っていただく、自立の助長を促すという生活保護制度の大原則との兼ね合いをどう図っていくか。この辺で悩ましい部分があろうかと思っているところでございます。

●二島豊司……自己決定を阻害してしまうのではないかということが懸念されるということでありますけれども、結局、先ほど冒頭申し上げたような、受給されている方が家賃を支払わないということになると、大家さんとしては退去を求めなければならない。大家さんにももちろん家賃は入ってこないですし、受給者の方も住むところを追われてしまう可能性があるわけであります。そしてまた、生活保護を受けておられる方を、今まで入居していただいていた大家さんも次はどうしようかなと二の足を踏んでしまうという、どなたにとっても不利益な結果が生じる可能性があると思うので、先ほどお伺いした課題については留意した上で、代理納付制度を積極的に対応していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

◯生活福祉調整担当課長・芝地区総合支所生活福祉担当課長兼務……住宅扶助の代理納付につきましては、この間、積極的な活用を検討してきていない点も確かにございます。自己決定、自立助長を尊重し過ぎる余りに、結果として滞納を防ぐことができず、被保護者の方が住居を失うことになってしまっては保護の目的をそもそも達成することができなくなります。今後は保護の実施決定を担っている各総合支所とも協議しながら、どういった場合に代理納付を行うのか、その場合の手続きなど一定のルール化を図りながら、住宅扶助の代理納付を効果的に活用してまいりたいと思ってございます。

●二島豊司……被保護者、受給者の方にも不利益にならない。当然、自立の妨げにもならない形で、こういう制度がせっかくありますので、ご活用いただければと思います。 以上です。


■ペットの犬について  

●二島豊司……私からは、犬の話をさせていただきます。
ペットのマナーと書いたのですけれども、今、猫の話だったので、犬ということで話をしたいということです。子どもより多い数の犬がいるといったことが言われたりするわけでありますけれども、現在、登録されている犬の頭数とその推移についてもお答えください。お願いします。

◯参事(生活衛生課長事務取扱)……区内の犬の登録頭数でございます。平成10年度3,000頭台でございました。平成15年度には5,000頭台になり、平成20年度現在、約8,000頭となってございます。この10年で、かなり急増しているという状況でございます。

●二島豊司……人口増と無関係ではないと思いますけれども、犬の数は、それに先駆けてふえているということだと思います。犬を散歩させていらっしゃる飼い主の方から、「近くでもっと自由に遊ばせられる場所がほしい」といった要望を伺うことが多くあります。その一方で、「歩道や公園などでの散歩のマナーが悪いと感じている」とおっしゃる方の意見を聞くこともよくあるわけであります。マナーを守らないごく一部の飼い主のために大多数の良心的な飼い主にまで批判の目が向けられてしまい、すべての犬と飼い主に対して、大きな制約をせざるを得ないような事例が発生していることを懸念いたしております。
例えば散歩のマナーとしてうんちを拾うことは当たり前となっていますが、おしっこを水で流すことは必ずしもコンセンサスを得られているとは思えない。散歩中のリードの長さなども、それぞれが判断されておられます。多くの方々は、我が子同然に愛しているペットが、ほかの人に対して迷惑をかけることを望んでいるわけではありませんので、どこまでがほかの方に迷惑のかからない範囲なのかを、みずからが判断して散歩させております。ところが、当然のことながら、その犬の性格も何も知らない周辺の方にとっては、マナー違反と受けとめられる行為もあるわけであります。その地域でペットを散歩させるときのルールについて明示されていれば、特に感情的な行き違い、そういったトラブルは最小限に抑えられるのではないかなと考えています。そのためには、港区にドッグパスポートとか、こういったさまざまな啓発グッズがあるのですけれども、私はあくまでも、例えば白金台どんぐり児童遊園で、利用者の中で自主ルールを設定しているように、その地域に合ったルールづくりを当事者の参加を得て行うことが望ましいと考えます。ルールを守ることによって、守っている方がスマートだと感じられるようであったり、より守られやすいルールがつくられ、同じ悩みを抱える仲間相互の共通課題であるとの意識が芽生えやすくなるのではないでしょうか。それぞれ愛し方はさまざまなので、意識の統一が図りづらい問題であるからこそ、皆さんが話し合いできる場の設定やそういったことの決め事の周知方法などについて、行政が主導することが必要と考えますが、いかがでしょうか。

◯参事(生活衛生課長事務取扱)……区では、犬の飼い主の方に対して、マナー向上のために広報みなとや各種のパンフレット、犬のしつけ方セミナー等を活用いたしまして、啓発を行っております。この犬の問題につきましては、猫の問題もそうなのですが、実際に飼われている方と飼われてない方、また、飼われている方の中でもそれぞれ意見が非常に異なる、こういった状況がございます。そういった意味で、なかなか一律にということが難しい状況がございます。ただ、住民の方が自主的にマナーアップに取り組んでいる例といたしまして、某マンションでございますが、ペットクラブの活動がございます。自主的なセミナーの開催、それから、清掃活動、こういったことを行うことによりまして、そのマンションでの共通意識が芽生えてきてございます。
今後、区といたしましては、このような先進的な活動への協力、それから、そういった活動内容を他のマンションや地域にご紹介することを通しまして、地域に合った自主的なマナー向上活動を支援してまいりたいと、まずは思ってございます。

●二島豊司……ありがとうございます。区で出しているものをはじめ、いろいろな形でマナー向上の啓発が図られていることはあると思うのですけれども、そこで散歩される方はある程度の地域の範囲内でやられていると思いますので、その範囲、それぞれ住んでいる方によって違うかもしれないのですけれども、そこで地域ルール的なものができると、より守りやすい。あと、また周辺の方にとっても、わかりやすいことになるのではないのかなと。芝浦港南地区でも区民参画組織の方の、地域の困りごと解決チームが、マナーアップポスターと看板を公園などに設置する予定だということも見ました。こういった啓発に関する取り組みをより実効あらしめるためにもぜひ当事者の、飼っておられる方ご自身のご参加をいただいて、自分たちで決めたことは自分たちで守れるとなるようにしていただきたいなと思います。
このドッグパスポートの後ろの方にも書かれてあるのですけれども、毎年、十数万頭の犬たちが行政施設に保護され、ごく一部が譲渡対象として選ばれる以外は殺処分を受けている、これは安楽な死ではないという記載があるのですけれども。ペットショップで小犬が飼われていますが、小さいうちは商品価値があるのですけれども、少しあそこで成長してしまうと、引き取られて殺されてしまうわけですね。今飼われている犬は非常に愛情たっぷりに生きることができている幸せなわんちゃんですので、地域の人とのトラブルの種になったり、迷惑に思われたりすることは犬にとっても本意ではないと思いますので、行政として手だてを講じられるところがあればぜひやっていただきたいと、要望させていただきます。  以上です。


■ワーク・ライフ・バランスの推進について

●二島豊司……第2次産業振興プランに示されておりますワーク・ライフ・バランスの推進について、お伺いさせていただきたいと思います。
きのうも民生費の款で私を含め多くの委員が取り上げましたとおり、現在、港区では待機児童の解消が喫緊の課題となっております。私は、待機児童の問題は単に保育・福祉の問題にとどまらず、社会全体の問題であると認識をいたしております。その中で社会構造、特に女性の労働環境がこの課題に与える影響は大きなものがあると考えるところであります。現在、親、特に母親が、みずからの子どもが小さなある時期、保育園に預けることができないこと、また、みずからの手で子育てすることを選択することによって、仕事を通じた収入はもちろん、自己実現や社会との接点を持つ機会をあたかもすべて失ってしまうかのような雰囲気があります。私は、みずからの手で育児をすることと仕事を通じた社会参加とを、両立のできない二者択一の関係にするのではなく、いっとき育児のために職場を離れても、本人の希望があれば必ず復帰できることを担保する制度や、先ほどありましたように女性の再就職支援、男性、父親の子育て参加への推進など巷間言われるワーク・ライフ・バランス、これがうまく機能することで保育園の呪縛から解放される可能性のある待機家庭は必ずあると思っております。
産業振興プランに示されるワーク・ライフ・バランスの推進にあたっては、待機児童問題なども念頭に置いて、仕事と子育ての両立について、産業・地域振興支援部の視点から焦点を当てることが必要ではないでしょうか、ご認識を伺います。

◯産業振興課長……ワーク・ライフ・バランスとは、委員ご指摘のように仕事と子育てや趣味等の私生活を両立させることで、やりがいや充実感を持って働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域で多様な生き方を選択・実現できることと考えております。子育てに関しましては、働きながら子どもを育てたいですとか、子どもが小さい間は自分で育てて将来復職したいなどの考え方がございますが、このようなさまざまな選択肢を安心して選べることが必要だと考えてございます。
産業振興としての側面からも、子育ての不安を抱えながら働くことは有用な人材確保や従業員の働く意欲・条件が制約されるなど、企業にとっても深刻な問題を提起すると考えてございます。ワーク・ライフ・バランスを積極的に推進することが、産業振興という側面から考えましても、優秀な人材の長期的な確保や業務の効率化等にとって、本当に不可欠だと考えております。
 また、そのような企業の取り組みが進むことで、働きやすく、また、子育てしやすい環境が整備されていくものと考えてございます。

●二島豊司……そうですね。その上で、このワーク・ライフ・バランスを具体的に推進する際には、特に中小・零細企業に対して啓発と同時にインセンティブのようなものも用意する必要があると考えますが、いかがでしょう。

◯産業振興課長……産業振興プランにおきまして、ワーク・ライフ・バランスの推進を重要課題ととらえております。情報提供や啓発のための事業のほか、ワーク・ライフ・バランスの推進に積極的に取り組んでいる企業に対する、いわゆる顕彰の仕組みづくりや、ホームページで紹介するなど、企業イメージの向上や人材の確保につながるような支援を行うこととしてございます。ワーク・ライフ・バランスの推進に積極的に取り組む企業のインセンティブを高めるよう支援をしてまいりたいと考えてございます。
 委員ご指摘のように、子育てしながらでも働きやすい環境の整備は、中小企業にとっても極めて重要と考えております。今後、非常に厳しい経営環境にある中小・零細企業の皆さんの意見等を踏まえまして、ワーク・ライフ・バランスの推進に向けた支援について検討してまいります。

●二島豊司……ぜひよろしくお願いしたいと思うところであります。
 ワーク・ライフ・バランスというのは多様な生き方を選択できるという概念だと思いますので、こうあるべしという一定の方向性に肩入れすべきものではないということは、十分に私も認識しております。ですが、このワーク・ライフ・バランスというのが取り上げられること自体、仕事一辺倒から家庭だとか地域活動、また趣味などに自身の時間、生活の軸足を振り分けていくというバイアスがこの概念自体に内包されているものだと私は思っておりまして、冒頭申し上げましたとおり、待機児童の解消、これが大変大きな問題となっているわけです。港区全体がとりかからなくてはならない問題だということの認識をぜひお持ちいただいて、産業・地域振興支援部ももちろんですけれども、子ども支援部とか保健福祉支援部だけの問題ではなくて産業・地域振興支援部その他の部も何かしら力を、それに資する事業というか、資することができるのではないかという視点を持っていただきたいという問題提起のつもりで投げかけました。特に産業振興課は、事業者さんと接触するセクションだと思いますので、働く方の選択肢を確保するためには事業主の方の理解や事業主の方に対する支援が欠かせないことだと思いますので、ぜひオール港区、全港区でこの待機児童の問題は取り組んでいくのだという姿勢を見せていただきたいなという思いがあって、こういった発言をさせていただきました。ぜひご理解をいただければと思います。以上です。

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